先日、オーディオ電源工事で有名な出水電器の島元さんから電話が有りました。
Dynaudio の C4(スピーカー)と Allion の新しいアンプの組み合わせで
亀吉レ コードで制作した後藤輝夫&佐津間純の But Beautiful を聴いたら素晴らしい 音なので是非とも Allion の試聴室に聴きに来て下さいという事でした。ちなみにAllion は出水電器試が設計、販売しているオーディオ機器のブランドです。Allionの試聴室へ出向き、But Beautifulを久しぶりに聴きましたが、こんなに良いサウンドだったっけ?というのが素直な感想でした。
But Beautifulというアルバムは私がプロデュース、録音、ミックス、マスタリング し 2012 年に e-onkyo からハイレゾ音源として配信され、その中の Teach Me Tonightという曲が第 20 回プロ音楽録音賞のベストパフォーマー賞に選ばれまし た。ベストパフォーマー賞はミュージシャ ンに与えられる賞ですが、プロデュースした自分としては、受賞したのは内容 が良かったからだと思い自分の事のように嬉しかったのを覚えています。
CDにするつもりはなかったのですが、ぜひCDにして欲しいというリクエストがあり、 CD盤も制作することになりました。こちらも高い評価を得ました。
録音は楽器に向けたオンマイクと雰囲気良く響きが録れる場所にセットしたオ フマイクの合計 4 本のマイクで録音しました。
特にオフマイクの位置は色々試して時間がかかった事を覚えています。
そしてミックスはほとんどオンマイクとオフマイクのバランスでサウンドを作 り、最小限のイコライジングと少なめのリバーブ(1 曲だけたっぷりとリバーブ は掛けています)なので非常に生々しく聴こえる作品になっています。
これが再生するオーディオシステムによって印象が変わり、自分のスタジオの Altec で聴くと良くも悪くも全てがさらけ出される音で、普通のミニコンポで聴 くと良い雰囲気でお酒が飲める様な音で聴け、自分ではそれなりに納得出来る 仕上がりでした。勿論今となっては色んな後悔や勘違いしていた部分も有りますが、それは次に生かすということで。
今回 Allion の試聴室で聴いた音は今までの印象より更に音の艶、空間の 響きが気持ち良く自分の想像以上の音でした。 オーディオ再生システムと部屋の響きで聴こえ方が変わるのは当たり前で、どんな環境でも音楽の印象がなるべく変わらない様に作るのが理想の ミックスだと思っていますが、今回の様な体験は初めてでした。オーディオの世界は奥が深い!
バットビューティフル録音のいきさつは、ある時鈴木輪のバンドリハーサルの休憩時間にサックスの後藤輝夫 とギターの佐津間純が二人でこの曲知ってる?と遊んでいるのがとても良い雰囲気なので「よし!これをそのまま録音してやろう。」と、思ったのがきっかけでした。
★雑誌ジャズライフで亀吉音楽堂とBut Beutifulのことが掲載された記事があります。こちらのページ。このアルバムにはまだ続きがあって、この後、鈴木輪のブルーベルベット(kame009)にも良い流れでつながり、好評を博しただけでなく、2018年より全国公開している日本最高齢バーテンダー井山計一さんのドキュメンタリー映画「Yukiguni」雪国のサウンドトラックにアルバムより10曲も使用されました。アルバムButBeautifulの音楽が映画の雰囲気を暖かく包んでいます。たくさんの会場で上映されていますので知らず知らずのうちに後藤輝夫&佐津間純のBut Beautifulを耳にしてる方もいるかもしれません。